
「毎年冬になると屋根に雪が積もるんですが、春になって雪が解けた頃に見たら、軒樋がぐにゃっと歪んでいたんです。去年まではこんなじゃなかったのに…。雪の重みでこうなったんでしょうか?」
岩手県滝沢市にお住まいのM様からいただいたのは、積雪による軒樋の歪みに関するご相談でした。
滝沢市は盛岡市の北西に隣接し、岩手山の麓に位置する高原都市。標高が高く、盛岡市街地より積雪量が多い地域です。
M様邸は築20年。毎年冬は屋根に雪が積もりますが、これまで雨樋のトラブルはありませんでした。しかし今年の春、雪解け後に軒樋を見上げると中央部分が大きく下にたわみ、歪んでいるのを発見。よく見ると金具も曲がり、継ぎ目にも隙間ができていました。
「20年間大丈夫だったのに、急にダメになるものなんですね…」
そんなM様のお悩みを解消するため、積雪に強い仕様での雨樋全面交換工事を実施しました。
現地調査で見つかった課題









M様邸を調査したところ、以下の症状が確認されました。
① 軒樋の歪み・たわみ 軒樋の中央部が大きく下方向に歪み、V字型にたわんでいました。積雪荷重によるものです。
② 金具の曲がり・破損 軒樋を支える金具が積雪の重みで曲がり、一部は完全に破損。軒樋を支えきれなくなっていました。
③ 継ぎ目の隙間・破断 軒樋の歪みに伴い、継ぎ目が引っ張られて隙間が発生。雨水が漏れる状態になっていました。
④ 勾配の狂い 本来は集水器に向かって傾斜しているはずの軒樋が、歪みによって逆勾配に。水がスムーズに流れなくなっていました。
⑤ 素材の経年劣化 20年間の紫外線と寒暖差で、雨樋本体が硬化。弾力性が失われ、積雪荷重に耐えられなくなっていました。
⑥ 他の面も劣化 歪みが発生した面以外も確認したところ、同様に劣化が進行。いつ同じ状態になってもおかしくない状況でした。
👉 なぜ今年になって歪んだのか
- 20年間の劣化で素材が限界に近づいていた
- 金具もサビ・劣化で弱っていた
- 今年の積雪が「最後の一押し」になった
- 経年劣化と積雪荷重のダブルパンチ
積雪で雨樋が歪むメカニズム
M様のように、積雪で雨樋が歪む被害は珍しくありません。
積雪荷重のメカニズム
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① 雪が積もる | 屋根・軒先に雪が積もる |
| ② 軒樋にも積雪 | 軒樋の上にも雪がたまる |
| ③ 雪が水分を含む | 降り積もった雪が重くなる |
| ④ 荷重が増大 | 金具・軒樋に負担がかかる |
| ⑤ 耐えきれず変形 | 金具が曲がり、軒樋が歪む |
積雪荷重の重さ
| 雪の状態 | 1㎥あたりの重さ |
|---|---|
| 新雪(降ったばかり) | 約50〜100kg |
| しまり雪(数日後) | 約150〜250kg |
| ざらめ雪(融雪期) | 約300〜500kg |
👉 たとえば、軒樋1メートルあたりに10cmの雪が積もった場合…
- 新雪なら約0.5〜1kg
- ざらめ雪なら約3〜5kg
- 軒樋全体では数十kgの荷重に
雨樋が耐えられる荷重
| 状態 | 耐荷重の目安 |
|---|---|
| 新品(適切な金具間隔) | 十分な余裕あり |
| 10年経過 | やや余裕あり |
| 15〜20年経過 | 限界に近い |
| 金具がサビ・緩み | 大幅に低下 |
| 素材が硬化 | 変形しやすい |
👉 M様邸は築20年で素材が劣化し、積雪荷重に耐える力が低下していました。
施工内容:積雪に強い雨樋(U105)全面交換









M様邸では、積雪地域仕様で雨樋の全面交換を実施しました。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 既存撤去 | 歪んだ軒樋・曲がった金具・劣化した縦樋を撤去 |
| 下地確認 | 破風板・鼻隠しの傷みをチェック |
| 下地補修 | 金具が曲がった箇所のビス穴補修など |
| 新規金具設置 | 積雪対応の間隔で新品金具を設置 |
| 新規雨樋設置 | 正確な勾配で軒樋・縦樋・集水器を設置 |
| 継ぎ目処理 | しっかりとシーリング処理 |
| 排水テスト | 実際に水を流して排水状態を確認 |
積雪対策のポイント
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 金具間隔を詰める | 通常60cm→45cmに変更し、荷重を分散 |
| 金具の強度アップ | 太めの金具を使用 |
| 耐候性の高い素材 | 寒暖差に強い雨樋を選定 |
| 継ぎ目の強化 | 引っ張りに強い処理 |
施工のポイント: 金具の間隔を通常の60cmから45cmに詰めて設置。1箇所あたりの負担を軽減し、積雪荷重に強い仕様にしました。
ビフォーアフター:M様邸はこう変わった
| 項目 | Before | After |
|---|---|---|
| 軒樋の形状 | V字にたわみ・歪み | まっすぐで正確な勾配 |
| 金具 | 曲がり・破損 | 新品・間隔を詰めて強化 |
| 金具間隔 | 60cm(標準) | 45cm(積雪対応) |
| 継ぎ目 | 隙間・漏水 | しっかり固定 |
| 素材の状態 | 硬化・脆化 | 新品で弾力性回復 |
| 勾配 | 逆勾配で水たまり | 正確な勾配で排水 |
| 積雪への耐性 | 限界を超えて歪み | 大幅に向上 |
M様の感想 「20年間何ともなかったので油断していました。雪が多い地域だから、金具を詰めて付けてもらったのは安心です。来年の冬はもう心配しなくて済みます。これならあと20年は持つかな?」
滝沢市の気候と積雪
滝沢市は盛岡市の北西に隣接し、岩手山の麓に広がる高原都市。その立地から、積雪量が多い地域です。
滝沢市の積雪の特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 標高が高い | 盛岡市街地より50〜100m以上高い場所も |
| 積雪量が多い | 盛岡市街地より多い傾向 |
| 気温が低い | 雪が解けにくく、長期間残る |
| 岩手山からの風 | 吹き溜まりができやすい |
| 寒暖差が大きい | 昼夜の気温差で凍結・融解を繰り返す |
盛岡市街地との比較
| 項目 | 盛岡市街地 | 滝沢市(特に高台) |
|---|---|---|
| 積雪量 | 標準 | 多い |
| 気温 | 標準 | 2〜3℃低い |
| 雪解け | 早い | 遅い |
| 積雪期間 | 標準 | 長い |
| 雨樋への負担 | 大きい | さらに大きい |
積雪が雨樋に与える影響
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 荷重による歪み | 軒樋が下に曲がる |
| 金具の破損 | 重みで曲がる・外れる |
| 継ぎ目の破断 | 引っ張られて隙間ができる |
| 勾配の狂い | 歪みで水が流れなくなる |
| 落雪被害 | 雪と一緒に軒樋が落下 |
👉 滝沢市では、積雪対策を考慮した雨樋の設計・施工が重要です。
「今まで大丈夫だった」のに歪んだ理由
M様が疑問に思われていたのは、**「20年間大丈夫だったのに、なぜ今年になって歪んだのか」**という点でした。
経年劣化の進行
| 年数 | 雨樋の状態 |
|---|---|
| 〜10年 | 積雪にも十分耐える余裕あり |
| 10〜15年 | 少しずつ劣化が進行 |
| 15〜20年 | 素材の硬化、金具のサビが進む |
| 20年〜 | 限界に近い状態 |
「最後の一押し」になる条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 例年より積雪量が多い | 通常より大きな荷重がかかる |
| 湿った重い雪 | 同じ量でも荷重が大きい |
| 長期間雪が残った | 荷重がかかる時間が長い |
| 気温変化で凍結・融解 | 繰り返しで素材にダメージ |
M様邸のケース
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 築20年 | 素材・金具が寿命に近い |
| 金具のサビ | 固定力が低下していた |
| 素材の硬化 | 弾力性がなくなっていた |
| 今年の積雪 | 「最後の一押し」になった |
👉 「大丈夫だった」のではなく、「たまたま持ちこたえていた」状態でした。
積雪に強い雨樋にするポイント
積雪地域で雨樋を長持ちさせるには、設計・施工時の対策が重要です。
金具の工夫
| 対策 | 効果 |
|---|---|
| 間隔を詰める | 荷重を分散(60cm→45cm) |
| 太い金具を使う | 強度アップ |
| ステンレス製 | サビにくく長持ち |
| しっかり固定 | 緩みにくい |
雨樋本体の選び方
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 耐候性 | 寒暖差に強い素材 |
| 肉厚 | 厚みがある方が丈夫 |
| 形状 | 角型は容量が大きく荷重分散 |
| 信頼性 | 実績のあるメーカー品 |
設置時の注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 正確な勾配 | 水がスムーズに流れるように |
| 継ぎ目の処理 | 引っ張りに強い処理 |
| 下地の確認 | 鼻隠しがしっかりしているか |
| 雪止めとの関係 | 落雪の経路も考慮 |
👉 M様邸では、金具間隔を45cmにして積雪に強い仕様にしました。
雪止めと雨樋の関係
積雪地域では、雪止めの有無も雨樋に影響します。
雪止めのメリット・デメリット
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 落雪防止 | 雪が一気に落ちず安全 | 軒先に雪がたまりやすい |
| 雨樋への影響 | 落雪の衝撃を防げる | 荷重が長時間かかる |
| 安全性 | 人や物への落雪被害防止 | 過積載のリスク |
雪止めがある場合の注意
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 軒先への積雪増加 | 雪がたまりやすい |
| 雨樋への荷重増大 | 長時間荷重がかかる |
| 金具の強化が重要 | 間隔を詰めて対応 |
| 定期点検 | 毎年春に状態確認 |
雪止めがない場合の注意
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 落雪の衝撃 | 雪と一緒に雨樋が落ちる危険 |
| 巻き込み | 軒樋を引きずり落とす |
| 突然の被害 | いつ落ちるかわからない |
👉 M様邸には雪止めがあり、軒先に雪がたまりやすい状態でした。 金具の強化で対応しています。
雨樋の劣化サイン|こんな症状があれば要注意
ご自宅の雨樋、こんな症状はありませんか?
積雪被害のサイン
✅ 軒樋が下にたわんでいる・歪んでいる ✅ 金具が曲がっている・外れている ✅ 継ぎ目に隙間ができている ✅ 雨水があふれる・うまく流れない ✅ 雪解け後に異常が見つかった
劣化のサイン
✅ 雨樋が白っぽく変色している ✅ 触ると硬い・弾力がない ✅ 金具がサビている ✅ 築15年以上で一度も交換していない ✅ 積雪地域に住んでいる
➡ 1つでも当てはまる場合は、早めの点検をおすすめします。
雪解け後の点検のすすめ
積雪地域では、毎年春の雪解け後に雨樋を点検することをおすすめします。
雪解け後のチェックポイント
| チェック箇所 | 確認内容 |
|---|---|
| 軒樋の形状 | たわみ・歪みがないか |
| 金具 | 曲がり・外れ・サビがないか |
| 継ぎ目 | 隙間・漏水がないか |
| 縦樋 | 外れ・破損がないか |
| 排水 | 水がスムーズに流れるか |
| 外壁 | 雨だれ跡がないか |
点検のタイミング
| タイミング | 理由 |
|---|---|
| 雪解け直後(3〜4月) | 冬のダメージを確認 |
| 梅雨前(5〜6月) | 雨シーズン前に対策 |
| 秋(10〜11月) | 冬に備えて確認 |
👉 毎年春に点検することで、M様邸のような大きな被害になる前に対処できます。
よくある質問|積雪と雨樋
Q. 積雪で歪んだ軒樋だけ交換できますか? A. 技術的には可能ですが、築15年以上で全体が劣化している場合は、他の面も同様に弱っています。全面交換をおすすめすることが多いです。
Q. 金具の間隔を詰めるとどれくらい強くなりますか? A. 60cmから45cmに変更すると、金具の数が約1.3倍に。単純計算で耐荷重も1.3倍程度になります。
Q. 雪下ろしをすれば雨樋は守れますか? A. 効果はありますが、雪下ろし中に雨樋を傷つけるリスクもあります。無理のない範囲で行い、雨樋周辺は慎重に作業してください。
Q. 雪止めを外した方がいいですか? A. 雪止めは落雪防止に重要です。外すより、雨樋・金具を積雪に強い仕様にすることをおすすめします。
Q. 火災保険は使えますか? A. 積雪荷重による破損は「雪災」として火災保険が適用される可能性があります。当社で申請サポートも行っています。
火災保険が使えるケースも
雨樋の破損が**雪害(積雪荷重・落雪)**によるものであれば、火災保険が適用される可能性があります。
対象になりやすいケース
- 積雪荷重で軒樋が歪んだ・変形した
- 積雪荷重で金具が曲がった・外れた
- 落雪で雨樋が破損した
- 凍結で継ぎ目が破断した
申請の流れ
- 被害発見後すぐに写真撮影(全景・近景・日付入り)
- 施工店へ原因特定と復旧見積を依頼
- 保険会社へ連絡し申請書類を準備
- 承認後に工事実施
注意: 純粋な経年劣化は対象外ですが、「積雪がきっかけで破損した」場合は適用される可能性があります。当社では申請サポートも行っています。
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